2020年度 空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会奨励賞講評

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2020年度 空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会奨励賞講評

 

学術研究発表部門:6編

 

A-6 Impinging Jet Ventilation方式の室内環境予測に関する研究 (第5報)実大実験による置換換気・IJVの暖房条件下での熱環境及び換気効率評価

〇山澤 春菜(大阪大学)小林 知広(大阪大学) 山中 俊夫(大阪大学) 崔 ナレ(大阪大学)

審査評:本論文は、置換換気方式(DV)および床面衝突噴流方式(IJV)について、その暖房運転への適用可能性を実験により検討したものである。DVIJVは冷房条件について高い換気効率を示すことが確かめられているが、暖房条件における適用はあまり検討されていなかった。しかし、本論文が示すように、季節により冷暖房が切り替わる気候帯においては、暖房条件への適用可能性はDVIJVの利用の観点から重要なことであり、これを検討した点に本研究の新規性、工学的応用性が認められる。実験条件が詳細に記述されていることに加え、結果は理論的に分析・整理されており、研究内容がわかりやすくまとめられている点でアピール力が高いと評価できることから、奨励賞に値する論文と判定した。

 

A-7 業務用厨房における局所排気フードの捕集原理に関する研究 (その23)4方向噴流による竜巻状吸引気流の形成と汚染物捕集性能の向上効果

〇寺本 大智(大阪大学)山中 俊夫(大阪大学) 小林 知広(大阪大学)

審査評:竜巻状気流を用いて排気フードの捕集性能の向上を目指した研究である。実験装 置により竜巻状気流が再現され、形成要因と捕集性能が評価された。竜巻発生 ファンの諸条件を変化させた実験結果より、吹き出したジェットによる擾乱が捕 集率に与える影響が考察された。可視化実験の結果が分かり易く提示され、プレ ゼンテーションが高く評価されたことから奨励賞に値する論文と判定した。

 

A-35 業務施設時刻別電力需要データを利用した電力需要成分分解とエネルギー管理への応用 

〇榎原 史哉(大阪大学)山口 容平(大阪大学) 岩井 良真(関西電力) 上林 由果(関西電力) 下田 吉之(大阪大学)

審査評:業務施設で計測された時系列電力需要データに基づき、汎用的に適用可能なエネルギー管理ツールの開発を目的とし、気象データと用途別電力需要データから、季節変動や人間活動によって生じる活動起因変動とに成分分解し、得られたツールの概要を示した。さらに、その検証例を示して評価し、電力需要のエネルギー管理に利用できることを示した。膨大なデータ解析した結果として管理ツールは信頼性があり、工学的応用性が高く、発表のアピール力も高く評価されたことから、奨励賞に値する論文と判定した。

 

A-14 領域分割法を用いたLESによる室内通風気流の非定常解析法に関する基礎的研究 (その2)単室モデルを対象としたLESの解析精度検証

〇田中 佑亮(大阪大学)小林 知広(大阪大学) 山中 俊夫(大阪大学) 丹原 千里(大林組) 小林 典彰(大阪大学) 崔 ナレ(大阪大学) 佐野 香之(大阪大学)

審査評:本研究はLarge Eddy SimulationLES)を換気・通風分野に適応するための基礎的研究である。特に領域分割法の提案を目的とし、風洞実験の結果との比較に基づいて提案法により精度高く推計が行われていることを確認した。特にPIV法との比較を行うなど、学術的貢献度の高さや、要点をおさえ自信をもった発表姿勢によるアピール力の高さが評価され、奨励賞に値する論文と判定した。

 

A-52 冷房使用と通風利用の選択における外気温に応じた室温の調節範囲

〇渡部 麗杏(大阪市立大学)梅宮 典子(大阪市立大学)

審査評:本論文は、外気温に応じた室温の調節範囲を検討することを目的とし、夏季から中間期にかける実測データに基づいて、冷房及び通風選択時の室内外気温の関係を分析し、Adaptive Modelとの比較も行っている。多岐にわたるデータを論理的に解析していることから信頼性が高く、学術的貢献度とアピール力が高く評価されたことから奨励賞に値する論文と判定した。

 

A-66 香り環境下における学習効率に関する研究 (その6)間欠的香り噴霧時のにおいの主観評価に関する検討

〇平野 雅人(大阪大学)山中 俊夫(大阪大学) 崔 ナレ(大阪大学) 竹村 明久(摂南大学) 小林 知広(大阪大学)

審査評:オフィスの執務室や休憩室に香りを取り入れる事例が存在するが、学習空間に香りを取り入れた実用例はほとんどなく、学習時の香り環境が学生に及ぼす影響については未解明となっている。本論文では、その学習空間における香り環境の有効性の検証を目的として、パネル実験を行っており、新しい知見が得られている。また、アピール力も高く評価されたことから、奨励賞に値する論文と判定した。

 

 

技術報告発表部門:1

C-1 エネルギー多消費型研究施設のリニューアルZEB化に関する取り組み 

〇信藤 邦太(大成建設)岩村 卓嗣(大成建設)

審査評: 本論文はエネルギー多消費型施設を対象として、リニューアル時においてZEB化を実施する取り組みを紹介したものである。空調、照明、実験エネルギー等の削減を汎用技術と開発技術の組み合わせによって、大幅なエネルギー消費量を削減するとともに、屋上の太陽光発電設備を利用した創エネにより、設計段階でNearly ZEBを実現した。運用時における実績では、計画値をはるかに上回る省エネルギーが達成され、ZEBが達成されたことが確認されている。特に、リニューアル時であること、汎用的な技術で高い性能が実現されていることが高く評価できる。発表もわかりやすく魅力的なものであったことから奨励賞に値する論文と判定した。

 


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